従業員満足度調査の全てがわかる
1. 先ずは準備
従業員満足の必要性
ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なし
- 「人間は生まれながらにして、より成長しよう、自分の持てるものを最高に発揮しようという自己実現の動機づけを持つ存在である」(マズローMaslow,A.H.1908〜1970)という考え方があります。
- 従業員が、「自己実現の動機づけ」を持っていても、日常はなかなか発揮されないのが現実です。たとえば、上司との関係が悪ければ、従業員は保身のため、どうすれば良いかを悩み、ほとんどのエネルギーをそれに費やし、またたく間に自己実現の欲求はなくなるでしょう。
- 企業にとって、従業員は社外(市場やお客様)に最大の関心を持って、仕事に取り組んでもらいたいのに、社内(不満足要因)にばかり関心がいっていることは意外と多いのではないでしょうか。
- 従業員の不満足要因を定期的に把握し、改善していくことで、従業員が本来持っている「自己実現の動機づけ」を最大限に発揮することが、競合に打ち勝ち、お客様に最大の価値を提供していくことにつながります。
- 社内で、笑顔になれない営業マンが、お客様に笑顔を提供できるでしょうか?
満足している従業員だからこそ、お客様に最高の満足を提供できると信じています。
調査目的(何のために調査をするのか)
- 従業員満足度調査(社員満足度調査)
- リーダーシップ意識調査(360度評価)
- コンプライアンス調査
- メンタルヘルスチェック
- その他、社内アンケートなど
調査を成功させるためには、漠然とした社内の問題意識から、調査によって知りたいこと、調べたいことは何か(目的)をハッキリさせる事が重要です。
調査の目的を問題解決毎のステップで考えてみましょう。
1. 問題を把握する
問題とは、現状と「こうありたいと思う」あるべき姿とのギャップですが、
現状の状態を把握するために従業員満足度調査を利用します。
組織で取り組んでいることが、組織のメンバーにどれだけ納得され、どのように実践されているかを把握します。
毎年継続して調査を実施し、従業員の満足の状態や意識の変化を把握し、重点的に改善を必要とする項目を明確にします。
例えて言うならば、企業における健康診断のようなものです。
2. 原因を分析する
問題となる行動や現象は、何が原因で起きているのかについて、いくつか仮説を立て従業員満足度調査によりその裏付けを明らかにしていきます。(例:多項目選択式…当てはまる上位3つを選んでください)
また、原因を特定するためには、仮説とともに、「そのように答えた理由はなんですか?」と自由記入で、深く原因を回答してもらうことも有効です。
3. 対策を実施するために
対策を打つためには、何らかの意志決定が必要です。その意志決定と効果の確認のために従業員満足度調査をおこなうこともあります。
例えば、今まで、表に出てこなかった個人の良い事例やお客様との感動のエピソードなどを幅広く自由記入欄で収集し、冊子などにまとめて水平展開することにも利用できます。
質問内容(何を聞くのか)
知りたいこと調べたいことを明らかにするためには、具体的に聞きたい質問項目(キーワード)を考えます。
次にどのような言葉で質問するかを考えます。
質問項目を考える
- まず、調査目的に合わせて大項目(例:上司のリーダーシップについて)を考えます。
- 大項目をもう少し細かい要素(例:動機付け、指示命令、部下育成、フィードバックなど)に分けて質問項目を作ります。質問項目の作り方には下のような方法があります。
- 時間の流れで分解してみる…過去→現在→未来の時系列に分解してみる。
- 原因と結果に分解してみる…因果関係をみます。(例:チームワークと達成感)
- ブレーンストーミング…思いつくままにあげて、似たもの同士の項目をまとめていく方法
質問形式におとす
- 質問項目を回答者が答えやすく、わかりやすいように、言葉遣いを工夫し質問の言葉に落とします。その際、業者などの標準的な質問を参考にするのも良いでしょう。
- Yesが満足につながるような質問に統一しましょう。
- 質問順は質問間のつながりをスムーズにするため同じ分野でまとめて、答えやすい質問から始め、答えにくい質問はできれば後ろに持っていく方がよいでしょう。
- 質問の総数
- 回答者の立場で、詰め込みすぎない質問数で10分から20分で終わるボリュームにしましょう。
質問文の作り方(質問の仕方)
1. 社内用語と専門用語に注意
- 一般的な言い回しより、社内でよく使われている用語の方が質問の意図が明確になるため、従業員満足度調査の場合には良いようです。
行き過ぎた業界用語や専門用語は、新入社員や派遣社員なども理解できる用語かどうかをチェックしましょう。
2. 誘導質問に注意
- 例:「○○システム導入は、業務効率化につながるとの調査結果がでていますが、あなたは○○システム導入に賛成ですか、反対ですか?」
この例では、○○システム導入に肯定的な情報を与え、賛成に誘導しています。このような質問は、回答者の意見を正確に捉えることができません。
3. 他の質問に影響する質問に注意
- 例:質問A「○○システムの導入で改善が予想できるものを次の中から選んでください」
質問B「あなたは○○システムの導入に賛成ですか、反対ですか?」
この例では、○○システムの導入の肯定的な質問Aにより、質問Bの回答に影響を与えており、賛成に誘導しています。
4. 1つの質問で2つのことを聞かない
- 例:「あなたは上司のアドバイスや業績のフィードバックに満足していますか?」
この例では、アドバイスに満足しているが、業績のフィードバックには不満の場合どちらについて答えれば良いかわかりません。
この場合は、質問を2つに分けた方が良いでしょう。
5. 本音を回答しづらい
- 例:「あなたは社内で決めたルールに違反したことはありますか?」
この例では、違反したとは答えづらいと思われます。
この場合は「あなたは、社内で決めたルールに違反している社員を見たことがありますか?」という質問にすることがあります。
6. 質問の中に形容詞が入らないようにする
- 例:「私の部門では、他部門との協力関係が非常にうまくいっている」
できるだけ設問には形容詞を入れないようにしましょう。
7. 質問文や指示文の統一しましょう
- なるべく質問の文章は統一しましょう
(例:当社では、我が社は、わたしの会社では)など
- なるべく指示の文章は統一しましょう
(例:該当する箇所に○を、あてはまる数値に○を)など
回答方法(どのように回答するのか)
A. 段階選択式
一般的なアンケートの選択肢です。統計的な分析もしやすい利点があります。
6段階評価(「わからない」も意見として尊重する場合)
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|
5
非
常
に
そ
う
思
う |
4
そ
う
思
う |
3
ど
ち
ら
と
も
い
え
な
い |
2
そ
う
思
わ
な
い |
1
全
く
そ
う
思
わ
な
い |
0
わ
か
ら
な
い |
|
5段階評価(もっとも標準的な選択式)
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|
5
非
常
に
そ
う
思
う |
4
そ
う
思
う |
3
ど
ち
ら
と
も
い
え
な
い |
2
そ
う
思
わ
な
い |
1
全
く
そ
う
思
わ
な
い |
|
中間意見を省いて4段階評価にした場合
|
|
4
非
常
に
そ
う
思
う |
3
そ
う
思
う |
2
そ
う
思
わ
な
い |
1
全
く
そ
う
思
わ
な
い |
|
B. 2項目選択式
意志決定のための設問で、賛成か?反対か?などに利用します。
C. 選択式の特殊型
相反する2つの意見のどちらに近いかを聞く場合に使用します。
|
|
5
A
の
方
に
共
感
す
る
|
4
ど
ち
ら
か
と
い
え
ば
A
の
方 |
2
ど
ち
ら
か
と
い
え
ば
B
の
方 |
1
B
の
方
に
共
感
す
る |
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D. 多項目選択式
選択肢が多い場合、上位3つを選んでもらうなどの方法があります。
Q06 |
…について、該当する回答を3つ選んでください。(複数回答可) |
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E. 自由記入式質問
回答は言葉・文字・数字になります。こちらが予期しない回答が得られることがあります。
Q07自由記入 |
『…について』の期待や要望をお書き下さい
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